作業療法士として働いていく中で、職場を選ぶのはとても重要な事です。
実際に働いてみると「こんな職場だと思わなかった」「もっとがっつりと仕事がしたい」「勉強が出来ず、スキルアップに繋がらない」「診たい疾患が診れない」こういった悩みに直面する方は少なくないのではと思います。
ここでは、勉強面(スキルアップ)・施設毎の患者の特徴・業務量について、配慮すべきポイントを解説していきます。
勉強面(スキルアップ)
作業療法士になったからといって、新人のうちから患者様に治療効果をもたらすことは正直難しいと思います。
実際、私も新人の頃はスキルとして未熟であり、先輩のように思うような結果が得られない事が多く、「この仕事を続けていいのか?」と不安になる事が少なくありませんでした。
新人の頃は、入職先の施設の新人指導の中身やそれに割ける時間どれくらいあるかが、今後の作業療法士人生に大きく関わってきます。
さて、作業療法士としてスキルアップしていく際にはいくつか方法があります。それぞれの項目の要点と就活時の確認しておいた方がいい事について解説していきます。
- 職場での新人・中途採用者への指導
- 各種研修会への参加
- 本を活用した自己学習
- 職場の同僚との勉強会
職場での新人・中途採用者への指導
新入入職に向けた指導は大まかにわけて2つあります。
それぞれ確認すべき内容は
- 病院や施設の業務に関する指導:マニュアル化されているか、個別の指導者が付くのか、OJTシートは充実しているか
- 患者様に対する治療スキルの指導:新人指導の内容、指導に割ける時間、SV制度
業務指導
業務に関する指導は経営上、どの職場でも実施されています。
規模がある程度大きな職場では、「プリセプター・プリセプティー制度」を導入している場所も増えています。
個別的に手取り足取りで関われることで、業務のミスを減らしたり、業務内容をいち早く覚えるのに適しています。
結果的にストレスが少なく、仕事が出来るようになってきます。また、その業務内容がマニュアル化されているかについても重要です。
マニュアル化されている事で、指導者がいなくても1人で問題解決が出来るからです。
「何をすればいいのか?」「どのように解決すればいいのか」が明確になっていると、日々の業務効率も上がります。
特に業務内容が不安だと感じる方は、業務内容の指導が行き届きやすい環境かを確認するといいでしょう。
治療スキルの指導
冒頭でも話した通り、新人の頃は治療スキルがほとんどありません。
患者様の信頼を勝ち取り、結果を出すためにはやはり勉強が必要です。
職場での新人指導は様々です。
業務時間内に行なう・・・指導者の指導を基に新人同士で実技練習
業務時間外で行なう・・・講義形式の指導と実技練習
新人の担当患者様への個別指導…SV制度
1年を通して、新人がスキルアップし独り立ちできるように支援しています。
職場での新人指導は、規模の大きな病院で行っている事が多いです。
私の施設は身体障害が主な疾患な為、徒手介入についての指導が多いです。
職場によっては、患者様との関わりに主眼を置いた指導や症例検討を通した指導も行っているようです。
いずれにせよ、新人指導がどのようになっているかは確認しておいた方がいいでしょう。
各種研修会への参加
リハビリ関連の研修会は数多く存在します。研修会の参加費は、対面式のもので10000円、ZOOMでのオンラインセミナーで5000円程度が多いです。
研修会費はなかなか馬鹿に出来ず、研修会貧乏なんて言葉もあります。
1~3年目までの私は研修会に行き過ぎて、毎月ギリギリの生活をしていました…
就職活動では、研修会の援助がどの程度もらえるか確認しておくといいでしょう。
本を活用した自己学習
医療関連の書籍は、高額なものが多いです。
職場で書籍を購入しておいてあるかも確認しておくといいでしょう。
また、ネット上での論文閲覧サービスに登録してあるかも確認出来るようでしたらしておくといいでしょう。
欲しい書籍があれば、既存の使わなくなった書籍を売るのも手です。
以下のサイトを使用することで手軽に書籍を買い取ってもらう事が可能です。

職場の同僚との勉強会
新人指導などの勉強会だけでなく、同僚との勉強会があるかを確認できるといいでしょう。
一緒に勉強できる人がいるかどうかはモチベーションに大きく関わります。
勉強に積極的な人の有無や就業後に勉強する雰囲気があるかは働いてみないとわからない事が多いですが、職場見学の際に聞いてみるのもありかもしれません。
施設毎の患者の特徴
どのような疾患に力を入れて診ていきたいか決めておくことは重要です。
「私は整形よりも脳卒中が診たい」「重症者よりも軽症者がいい」「認知症の方と関わりたい」など、自身の中で軸を作っておくと就職活動が捗るだけでなく、仕事にも前向きになる事が出来ます。
診れる疾患の幅
診れる疾患の種類で見てみます。
総合病院>訪問・通所リハ>回復期リハ病院>小児・精神疾患専門病院・施設
総合病院では様々な疾患の方が入院してきます。
その点、多くの疾患に関わる機会が増えますので、セラピストとしての幅が増えます。
訪問・通所リハは脳卒中や整形疾患に加えて、いわゆる廃用症候群の方も多くいます。総合病院と比較すると診れる疾患の量は減るものの、幅広く対応する必要があります。
回復期や小児・精神疾患はある程度決まった疾患を診ていく事になります。
業務量
作業療法をしていく上での業務は、大まかに分かれており、確認しておく項目は以下のようになります。
診療業務:1日の平均単位数がどれくらいか?診療時間以外の時間はどれくらいとれるか
書類業務:報告書の種類や数、チェック機構、カルテ業務
マネジメント業務:他職種間との情報共有や患者様の環境調整
一日の中で、自由に動ける時間がどれくらいあるか把握することで、書類業務とマネジメント業務に関われる時間も把握出来ます。
自由な時間がないと、そのしわ寄せとして就業後に残業となってしまいます。
その為、この自由時間がどれくらいあるか?
そして、その他の業務量がどの程度か把握しておく必要があります。
診療業務
一日の平均単位数を把握しておく事で、一日に使う時間配分が大まかにわかります。
例えば、平均18単位の回復期病院の場合
9時から17時までの業務では、「診療業務6時間、記録業務40分、休憩1時間」大まかにはこのようなタイムスケジュールになってきます。
訪問リハでは、これに移動時間も加わってきます。
書類業務
カルテについて
紙カルテか電子カルテかは確実に確認しておいた方がいいでしょう。
そして、電子カルテの職場を選んだ方がいいです。
なぜなら、紙カルテは人為的なミスが発生しやすく無駄な業務が増えるからです。
また、紙カルテの職場でも今後電子カルテに移行する可能性が高く、その移行作業に多くの労力を注がなければならないからです。
報告書類について
職場によって様々ですが、開始時・終了時の報告書、カンファレンス資料、計画書などは、どの職場でもあるかと思います。
そして、そのチェック機構がどうかについてです。
例えば、チェックが指導係→課長とダブルチェックの場合は、それだけで費やす時間が増える事がわかるかと思います。
このチェック機構にも目を向けておくと業務量の把握に繋がります。
マネジメント業務
他職種と連携し、患者様の周辺環境の調整を行うのが主な業務です。
具体的には、ベッドのポジショニングの指導、家族へのADL介助方法の指導、住環境調整が挙げられます。
これらの業務は、必要時に行なっていくものになります。
職場によって独自のやり方がある事が多いです。
まとめ
就職活動中に配慮した方が良い項目として以下の3点について述べてきました。
勉強面(スキルアップ)
施設毎の患者の特徴
業務量
すべてを完璧には難しいですが、自身の生活スタイルや目標に沿った就職先が探す手助けとなれば幸いです。
ただ、新卒のうちは「勉強面が充実した職場」を選ぶのが個人的にはおすすめです。
以上、参考になれば幸いです。