作業療法士はやりがいのある職業です。その為、作業療法に理想を強く抱いている方も多いでしょう。
一方で、作業療法に理想を強く頂いているが故に、「思ってたように働けない・・・」と悩み、退職を考える方もいます。
作業療法士の仕事を見つめなおし、「どんな仕事がしたいか?」について考え、次の職場を探すことでやりがいを持って働く事が出来るようになります。
ここでは、退職を考えてしまう理由と次の選択肢について紹介していきます。
作業療法士が退職したくなる理由
思ったようなリハビリが出来ない(結果が出せない、専門性がわからなくなった)
指導・相談出来る先輩・上司がいない
長時間労働、業務量が多い
作業療法は、基本的動作能力から、社会の中に適応する能力まで、3つの能力を維持・改善し、「その人らしい」生活の獲得を目標にします。(出典:日本作業療法士協会HPより)
その広い対象領域の中で、「どんな作業療法を行っていくのか」については、各職場・職域によって異なってきます。
ある程度自由度が高く、極端な事を言うと何をしてもいいという事です。
その為、PTの真似事になってしまったり、マッサージばかりになったり・・・作業療法の専門性を見失う事があります。
また、迷っていても導いてくれる上司や先輩がいない職場もあります。
作業療法業務は、診療以外にも書類業務も多くあります。
専門性を見失った状態での書類業務中は「自分は何のために仕事をしているんだろう・・・」と考えてしまう事にもつながります。(私もそう考えてしまう時期がありました。今でも)
それぞれ、詳しく解説していきます。
思ったようなリハビリが出来ない
結果が出せない
「結果が出せない」
これは、全新人作業療法士が悩む事ではないでしょうか?
ある程度、仕方ないといえば仕方ないでしょう・・・
なぜなら、作業療法の教育課程は実務をこなす為のものではないからです
・専門的な知識の習得
・基礎医学の知識習得
教育課程の中で得られるのは、良くてこの2点です。そして、作業療法士免許習得が主目標となります。
結果が出せないという事と現実
作業療法業務について、診療を行うと嫌でも、先輩や上司との差を感じてしまうでしょう。
移乗や立ち上がりの介助ひとつとっても、上手い下手がはっきり分かれます。
私の働いている施設では退院した患者様にアンケートを取っています。その中で挙がる新人へのコメントです。
近所のマッサージ屋に行った方がましだ
リハビリ後に痛みが増えた
なんの目的でリハビリをされているかわからない
辛辣なものを厳選しましたが、これが現実なのでしょう。
結果が出なくて悩む時にすること
私の後輩が担当している患者様の話です。
「治療技術で言えば、経験年数を経ている人の方がいいと思う。けれども私は彼女(後輩)が担当で良かった。」
「なぜなら、一番誠意をもって、そして日々努力している様子が伝わったからです。」
新人は結果を出せなくて当然です。それは前述したとおりです。
では、新人には、そして結果を出せない場合何をするべきでしょうか?
それは、やはり誠意と患者様の為に努力するという事じゃないかなと思います。
普段から誠意をもって努力する事=技術の向上
これが出来てくると、結果が出ないといった悩みは少なくなってきます。
少なくとも、私はそうでした。
専門性がわからなくなった
作業療法士(OT)なのに、理学療法士(PT)と同じことしかしていない・・・
マッサージ士と一緒の事をしている・・・
こんな事になる方って非常に多いと思います。
患者様によっては、基本動作訓練しかできなかったり、ROM訓練しか出来ない方もいます。それは患者様の状態によるからです。
職場によっては、PTと同じような訓練しか出来ない事も多いでしょう。
作業療法士の専門性ってなんでしょうか?
基本的動作能力から、社会の中に適応する能力まで、3つの能力を維持・改善し、「その人らしい」生活の獲得
訓練内容自体は、PTとかぶる事があってもいいんです。
重要なのは、「その人らしい」を実現する為、患者様を取り巻く周辺の環境(福祉用具の選定、自助具の提案)やサービス調整も作業療法士の専門性と言えるでしょう。むしろこれは、作業療法士がやるべきところです。
専門性っていうと、訓練内容の事ばかりが議論になりやすい印象を受けます。
それよりも「その人らしい」を実現出来る取り組みこそが作業療法の専門性なのでは?と思います。
指導・相談出来る先輩・上司がいない
前述しましたが、新人の頃は作業療法士としての診療業務は迷いの連続です。
指導・相談が出来るような環境にないと、途方にくれてしまい仕事自体のモチベーションが下がってしまいます。
解決策としては
研修会や講習会に行って学ぶという事になります。
職場内だけに解決策を求めるとドツボに嵌ります。また、研修会に出かけると様々な人との出会いがあります。今までの悩みを相談できる仲間に出会えることもあります。
長時間労働・業務量が多い
長時間労働や業務量が多くて困っている方は以下の点を確認するといいでしょう。
記録業務は電子化されているか?
サマリーなどの報告書のチェック機構の有無
職場によって様々ですが、
共通している業務としては記録業務と施設間情報提供書(サマリー)になると思います。
記録業務
記録業務は、紙カルテのところもまだありますが、
電子カルテが多くなってきています。訪問リハビリでは、タブレットをところもあります。
記録業務短縮には電子化が必須となっています。
チェック機構
職場によっては、役職者の書類チェックが必要な場合があります。
このチェックがあると、書類作成の時間が非常に長くなります。
チェックがある職場かどうかは、業務量の有無に大きく影響を与えます。
まとめと今の現状を変える為にやるべきこと
患者様に誠意をもって、日々の診療に注力する
研修会・講習会に参加する
職場を変える、転職を検討する
作業療法士の職域は非常に広いです。
各個人によって、理想の働き方は違います。
一度、就職してしまうと職場の伝統や雰囲気、方針などに左右されてしまう事が殆どです。
今、思うような仕事を出来ていない方は、考え方を変える他にも、研修会への参加や職場探しなど行動してみると問題解決に至る事があるかもしれません。