スキルアップ

【作業療法士必見】診療スキルを高める方法4選

診療スキルを高めると何がいいのでしょうか?

患者様からの信頼を得られる、上司や後輩から頼りにされる、副業や転職に有利など、様々なメリットがあります。
作業療法士として、生きていく為には診療スキルを高める事は確実にプラスなると考えられます。

さて、その診療スキルを高める方法は以下の4選です。

研修会・講習会などのセミナーに参加

書籍での勉強

ディスカッション・実技練習

実践していく

ひとつづつ解説していきます。

セミナーへの参加

セミナーの種類は?

実技系の研修会

座学系の研修会

ディスカッションを中心とした研修会

概ねこの3種類になります。

2020年~コロナの影響によって実技研修会は軒並み中止になり、オンライン研修会が主体となりました。

実技系の研修会

前述した通り、実技系の研修会は軒並み中止になっています。
しかし、今後コロナワクチンの普及に伴い、小規模ながら開催されていく事が予測されます。

ここでは、実技研修会の概要と私が受講してよかった研修会を合わせて紹介します。

研修会の概要

カリキュラムとしては、基本的に座学と実技の2部構成になっており、実技の方に重心を置いています。
研修会によっては、患者様のデモンストレーションを取り入れているところもあります。

座学では、基本的な知識や動作を構成している解剖・運動・生理・神経学的側面の学習を主体とします。
実技では、その知識をベースとした具体的な実技方法のレクチャーが主体となります。

また、デモンストレーションについてですが、
病院や施設で開催される研修会では、患者様をモデルにしたデモンストレーションを行う事があります。
より、実践的で臨床に活かせる方法を提示してくれるため、学びが多いでしょう。
時には、患者様が治療結果から喜び、涙する姿が見れるかもしれません。
この経験は座学では、決して学ぶことの出来ない内容です。そして、セラピストとしてのやりがいと覚悟を感じる習慣でもあります。

具体例:リーチ

座学:リーチする前の座位、リーチを構成する要素

実技:動作分析
   座位を最適化する為に骨盤や体幹の活動を高める実技
   リーチの誘導方法のコツなど

受講してよかった研修会

新人~4年目まで

大手の主催:Gene、三輪書店、リハテックリンクス
→大手故に大人数の研修会となります。その為、マニアックな内容を扱うよりは、一般的な内容や既存の知識を深める内容となっている事が多いです。実技に関しても、どちらかと言えばHOW TOの要素が強く、明日からでも患者様に実践出来る内容を扱うことが多いです。

各種手技の研修会:
→入門編や基礎編、インフォーメンションコースなどがコース名に入っている研修会がお勧めです。初級者向けに噛み砕いた内容になっている場合が多いです。

5年目~

各種手技や理論に特化した研修会への参加を検討されるといいでしょうか。

各種手技の研修会:ボバース基礎講習会、PNF、川平法、CI療法など
私はボバースの基礎講習会に参加したことがあります。期間は3週間となっており、座学と実技、治療実習が組み合わさった研修会です。特徴的なのは治療実習があるという事です。
ボバースインストラクターの指導を受けながら、実際の患者様に実技練習で学んだ事を実践します。その都度、指導を受けれる為、スキルアップには効果的でした。また、受講生同士でのディスカッションも多くあります。
アウトプットの機会は、他の研修会と比べると非常に多いと感じます。
この研修会はおすすめの研修会です。

座学系の研修会

座学系研修会の概要と行ってよかった研修会についてここでは紹介します。

座学系の研修会も実技系の研修会と同様にコロナの影響によって、対面式からオンライン形式に変更していっています。

研修会の概要

カリキュラムとしては、座学のみとなっています。
研修会によっては、患者様の動画を紹介するものもあります。

座学のみの研修会では、テーマとして高次脳、脳科学、COPMなどの理論、各論的な内容(痛み、めまい)様々なテーマを扱います。

講師は、大学の教授や研究者が行っている事が多いです。

行ってよかった研修会

大手主催の研修会
大手である事で、有名講師を招ける事が多い為、研修会の質も高い傾向にあります。
リハテックリンクスやリハノメでは、月額制で講習会の動画を閲覧出来るサービスも出てきています。
私も登録しており、スキマ時間に見る事が出来るのでお勧めです。

県士会主催の研修会
企業が行っている研修会と比較すると、受講費が半額程度であることが多いです。
トピックに合わせたテーマを扱う事が多い企画研修部や特設委員会主催の研修会やOTとして知っておくべく内容を網羅した生涯教育部主催の研修会があります。

今まで行って受講してよかった講師とテーマ
特に印象深い講師は以下になります。
森岡周:脳科学全般
竹林崇:CI療法
早川裕子:高次脳
山本伸一:脳卒中の上肢機能

ディスカッションを中心とした研修会

最近はオンラインセミナーが活発になっており、対面式の研修会でも行っていたディスカッションの時間を設ける研修会も増えてきました。

ディスカッションをする名目での研修会というよりも、座学+ディスカッション(ワークショップ)のような形式をとるところが多いです。

テーマとしては、
臨床実習指導者研修、災害対策研修会などといった、答えがあってないようなテーマや連携が必要となるテーマを扱う事が多いです。
また、研修会によっては動作分析を動画を通して行ない、それをディスカッションするところもあります。

書籍での勉強

書籍にはいくつか種類があります。

基礎医学を扱う書籍:運動学、解剖学、脳科学、生理学

作業療法を扱う書籍:上肢機能、COPM、作業に焦点を当てた介入についてなど

手技についての書籍:ボバース、CI、川平、PNFなど

疾患別:脳卒中(高次脳、片麻痺など)、内科系疾患、呼吸器疾患についてなど

書籍を読むタイミング

日々の診療の悩みを解決する為

学会発表時の考察に対しての根拠を探す為

概ねこの2点になります。

日々の診療の悩みを解決する為

例えば、「患者様のリーチ動作を改善したい」
→解剖学、運動学といった基礎医学の勉強
→脳卒中上肢機能に特化した書籍での勉強

漠然と「勉強するぞ!」と思って読んでいくと途中で読まなくなります。
何か目的をもって読むといいでしょう。

学会発表の考察に対しての根拠を探す為

学会発表の際は、書籍などから引用したり、根拠を結びつける事で治療結果の考察をします。
その為には、書籍を読むことが必須になってきます。

そして、書籍選びに上手くいけば、学会発表資料作成にかかる時間が短縮できます。
一方で、失敗すれば多くの時間が掛かってしまい、中途半端な資料になってしまいます。

書籍を選ぶポイント

執筆者

目次を読む

以上の2点を参考にしてください。

執筆者

どんな事をしている執筆者が過去の実績がどうか?
執筆者といっても、複数人で書いている場合もある為、注意が必要です。
より、書籍の情報に信憑性があるかどうか?について検討するといいでしょう。

また、研修会などで講師をしているかとどうかも判断基準になります。

目次を読む

本のタイトルを見て「ほしい!」と思っても実際読んでみたら、欲しい情報がなかった。
そんなことはよくあります。

これを避ける為には、目次をしっかりと読む事です。
目次を読むと大体どんな内容の本なのかがわかります。

目次を通して、自分の欲しい情報があるかどうかを探していくといいでしょう。

ディスカッション・実技練習

今までは、インプット中心の話でしたが、ここからはアウトプットが中心の話になります。

インプットだけでは、知識だけが増えていき頭でっかちで使い物になりません。
アウトプットしていく事で、学習効率が上がやすく、より深くその物事を理解することが出来ます。

出典:【理論】なぜ、人に教えると「良く学ぶのか?」 – toiee Lab(トイラボ)

この図からもわかる通り、講義だけでは殆ど学習としては残らず効率が悪いです。
実際にディスカッション・実技・人に教える事の重要性がわかります。

勉強会を行う

近い年代の先輩や後輩、同期を誘って勉強会をするのがお勧めです。

勉強会の内容は、「講習会の伝達」「テーマを持ち寄って、発表」といった内容が始めやすいのではないでしょうか?

特に講習会の伝達は、習ってきたことをまとめて発表するので、復習には最適です。
中でも実技提示を行う事で、患者様に実践する前に難しいポイントなどを整理出来るので、より効果的に患者様に治療技術を提供できるようになります。

実践していく

私の後輩でも居るのですが、講習会や研修会に行っても、そこで習ったことを「患者様で実践しない」
そんな人がいます。

ただのノウハウコレクターになっている方ですね。

ここまでいくつか、スキルアップ方法を述べてきましたが、何よりもスキルアップに繋がる方法は、やはり
「患者様に実践していく」という事です。やってみないとわからない事の方が多いです。

結局のところ、患者様を変えられなければ意味がありません。日々の治療の中で、熟慮し、実践し、失敗と成功を繰り返していくのがスキルアップに繋がります。

まとめ

今回は診療スキル方法を高める方法4選として以下の内容を紹介しました。

研修会・講習会などのセミナーに参加

書籍での勉強

ディスカッション・実技練習

実践していく

インプットも大切ですが、学習効率を考えるとアウトプットが重要となります。ディスカッション・実技練習・実践を通す事で、本来の目的である患者様に治療効果をもたらす事が可能となります。くれぐれもノウハウコレクターにならないように注意しましょう。